娘の小学校就学に合わせて、マイホームを建てようと急遽思い立ち、住宅展示場巡りや、近所の大工さんに相談していた頃に、震災が起きました。(その当時、茨城県 水戸市に住んでいました)私の住んでいた地域では、2日ほど断水しただけでした。たまたま土日が休みだったので、二日間家族と過ごしました。今でも憶えているのが、その時『大変な事が起きた!いったいこれからどうなるんだろう?』という思いが大半だったのですが、それとは別に不謹慎ながら『不便さを楽しむ、子供の頃のようなワクワク感』が心の奥にありました。

一旦マイホームの話は中断しました。そして半年くらい過ぎてから、たまたま行ったログハウスの展示場に薪ストーブがありました。ログハウスの間取りといい、薪ストーブの存在感といい、またしても『不便さを楽しむ、子供の頃のようなワクワク感』を感じました。どんどん魅了されていきました。

…それから1年後、小学校就学には間に合いませんでしたが、ログハウスと薪ストーブという、それまでの価値観とは一変した、私の新しい生活がスタートしました。そしてこれを書いている今、思い出しました。元々子供が生まれる前までは、バイク、車、カーオーディオ等のDIYを相当やっていました。FRPの加工までしていましたし。一変したというよりも、本来の自分らしさを取り戻した感じですね。

私は子供が育つにつれ、また仕事が忙しくなるにつれ、いつしか『つまらない大人』に成り下がっていたんですね。それを不謹慎で本当に申し訳ないのですが、あの震災によって『大人ぶっている自分』に気付かされました。自分が子供の頃、嫌いだった大人に、自分自身がなっていました。だから私は薪ストーブに感謝しています。本来の人間らしい自分に戻してくれたから。

私にとって薪ストーブは『常に童心に戻してくれる相棒』です。薪の調達は、自分で用意するにせよ、購入するにせよ決して楽ではありませんが、その見返りに『家族みんなに最高の暖かさと最高の心地よさ』を与えてくれます。

薪ストーブに携わってこれからの人生を生きていきたい、と思ったことと、どうせやるのなら、トコトン自分のやり方で気の済むまでやりたい。という思いから薪ストーブ専門店を目指しました。薪ストーブ店自体が近くにほとんど存在しない状況でしたので、苦難の連続でしたが、どうにかこうにか勉強する機会にも恵まれ、やっと薪ストーブ業界に参入することが出来ました。

そして2016年、薪ストーブ シャイニーが誕生しました。